カルボキシメチルセルロース（CMC）またはセルロースガムは、セルロース骨格を構成するグルコピラノースモノマーの水酸基の一部にカルボキシメチル基（-CH2-COOH）が結合したセルロース誘導体である。ナトリウム塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウムとして使用されることが多い。
セルロースとクロロ酢酸のアルカリ触媒反応によって合成される。極性（有機酸）カルボキシル基は、セルロースを可溶性かつ化学反応性にする。CMCの機能特性は、セルロース構造の置換度（すなわち、水酸基のいくつが置換反応に関与したか）、セルロース骨格構造の鎖長、カルボキシメチル置換基のクラスター化の程度に依存する。
用途
CMCは粘度調整剤や増粘剤として食品科学分野で使用され、アイスクリームを含む様々な製品の乳化を安定させる。食品添加物としてはE番号E466。また、K-Yゼリー、歯磨き粉、下剤、ダイエット薬、水性塗料、洗剤、繊維のサイジング、各種紙製品など、多くの非食品製品の成分でもある。粘度が高く、毒性がなく、低刺激性であることが主な理由で使用されている。洗濯用洗剤では、綿やその他のセルロース系繊維に付着するよう設計された土壌懸濁ポリマーとして使用され、洗濯液中の汚れに対して負電荷を帯びたバリアを形成する。CMCは、不揮発性の目薬（人工涙液）の潤滑剤として使用される。メチルセルロース（MC）が使用されることもあるが、その非極性メチル基（-CH3）は、ベースとなるセルロースに溶解性や化学反応性を与えない。
最初の反応後、得られた混合物は約60%のCMCと40%の塩（塩化ナトリウムとグリコール酸ナトリウム）を生成する。この生成物はいわゆるテクニカルCMCであり、洗剤に使用される。さらに精製工程を経て、これらの塩を除去し、食品、医薬品、歯磨剤に使用される純粋なCMCを製造する。また、中間的な「半精製」グレードも製造され、一般的に製紙用途に使用される。
CMCは増粘剤として医薬品にも使用されている。CMCは石油掘削産業でも掘削泥の成分として使用され、粘度調整剤および保水剤として作用する。ポリアニオン性セルロースまたはPACはセルロースから派生したもので、油田実務でも使用されている。CMCはカルボン酸であり、PACはエーテルである。CMCとPACは、同じ原料（セルロース）から製造されるにもかかわらず、使用される原料の量や種類によって最終製品が異なる。CMCとPACの違いとしてまず挙げられるのは、ラジカル化の段階である。カルボキシメチルセルロース（CMC）は、ポリアニオン性セルロースとは化学的にも物理的にも区別される。
